妊娠期の食事のポイント

妊娠期の食事のポイント

妊娠おめでとうございます。
出産・育児に備えて、赤ちゃんの発育や母体の健康に気をつけた食事を心がけましょう。

1 妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~

①妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう

②「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと

③不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと

④「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に

⑤乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に

⑥妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に

⑦母乳育児も、バランスのよい食生活の中で

⑧無理なくからだを動かしましょう

⑨たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう

⑩お母さんと赤ちゃんのからだと心のゆとりは、周囲のあたたかいサポートから

妊産婦のためのバランスガイド

食事バランスガイドとは、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかが一目でわかる食事量の目安です。
「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」の5グループの料理や食品を組み合わせてとれるようコマにたとえてそれぞれの適量をイラストでわかりやすく示しています。
コマ本体は1日の食事、中心軸は水分、コマはそのエネルギーで回転(運動)します。

具体的な食事量の参考は「食事バランスガイド」の詳細をご確認ください。

2 食生活のポイント

(1)妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう

  • 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事がバランスのよい食事の目安となります。

(2)「主食」を中心に、エネルギーをしっかりと

  • 炭水化物の供給源であるごはん、パン、めん類などを主材料とする料理を主食といいます。
  • 妊娠中、授乳中には必要なエネルギーが増加します。主食はしっかり食べましょう。

(3)不足しがちなビタミン・ミネラルを「副菜」でたっぷりと

  • 各種ビタミン・ミネラル及び食物繊維の供給源となる野菜、いも、豆類(大豆を除く)、きのこ、海藻などを主材料とする料理を副菜といいます。
  • 妊娠前から、野菜をたっぷり使った副菜でビタミン・ミネラルをとる習慣を身につけましょう。

■葉酸をしっかりと

  • 葉酸はビタミンの一種で、造血作用があり貧血予防に重要な栄養素です。
  • 妊娠前から妊娠初期にかけて、葉酸をしっかりとることが赤ちゃんの神経管閉鎖障害の予防につながります。
    まずバランスのよい食事をとり、葉酸を多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。

(4)「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に

  • たんぱく質は、からだの構成に必要な栄養素です。主要なたんぱく質の供給源の肉、魚、卵、大豆および大豆製品などを主材料とする料理を主菜といいます。
  • 多様な主菜を組み合わせて、たんぱく質を十分に摂取するようにしましょう。

■妊娠中は、貧血に注意しましょう、~貧血予防に一工夫~

  • 妊娠中は赤ちゃんに栄養と酸素を送るために体内の血液量が増え、鉄の不足を招きやすくなります。

※レバーは、ビタミンAが多く含まれています。少量でも過剰摂取になりやすいので、大量摂取は避けましょう。

(5)乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分に

  • 赤ちゃんの骨や歯は、妊娠中に作られます。カルシウムや良質のたんぱく質・ ビタミンD(きのこ類、さけ、さんまなどに多く含まれる)を積極的にとりましょう。
  • 日本人女性のカルシウム摂取量は不足しがちであるため、妊娠前から、乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムをとるよう心がけましょう。

(6)妊娠中の体重増加は、お母さんと赤ちゃんにとって望ましい量に

  • 妊娠中の適切な体重増加は、健康な赤ちゃんの出産のために必要です。体重増加には個人差があります。
    また、浮腫(むくみ)が起こると急に増えることもあるので、不安な場合は、医師に相談してください。
    下記の表を参考に適切な体重増加量をチェックしてみましょう。

3 よくある質問

Q.つわりがつらいときの食事はどうしたらいいの?赤ちゃんがしっかり育つかも心配で…。

A.赤ちゃんへの心配はありません。無理せず、気分よく食べられるときに少しずつ食べましょう。

Q.コーヒーや紅茶は飲んでもいいの?

A.禁止する必要はありませんが、タンニンにより、鉄の吸収がさまたげられます。カフェインは赤ちゃんにも移行するので、1日1~2杯程度にしましょう。またコーヒー、紅茶、ウーロン茶以外にココア、コーラ、チョコレート、栄養ドリンクにもカフェインが含まれていますのでご注意を。

Q.妊娠中の便秘対策は?

A.妊娠中は便秘になりやすいため、食物繊維の多い野菜や芋類、海藻類を積極的にとり、適度な水分補給をしましょう。どうしても出ないからといってむやみに便秘薬や浣腸の乱用は危険です。かかりつけの医師に相談しましょう。

Q.赤ちゃんがアレルギーにならないように、妊娠中から卵や牛乳は控えたほうがいい?

A. 妊娠中の摂取量と赤ちゃんのアレルギー発症には明確な関係はないとされています。いずれも良質のたんぱく質ですので、適量をとるようにしましょう。どうしても心配な方は主治医と相談しましょう。

Q.魚介類は食べ過ぎるとお腹の赤ちゃんによくないの?

A.一部の魚介類には、食物連鎖によって水銀の量が心配なものもありますが、魚介類から得られる良質のたんぱく質やDHAなどの栄養素も重要なので必要以上に気にしないようにしましょう。目安としてメバチ・クロマグロ・キンメダイなどは1週間に1人前くらいは食べても大丈夫です。ツナ缶・キハダ・ビンナガ・メジマグロは特に心配ありません。一部の食材にかたよることなく、さまざまな食材を食べるように心がけましょう。

魚介類の水銀について詳しくは↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/

Q.塩分は控えたほうがいい?

A.塩分の多い食事は、むくみや妊娠高血圧症候群の原因になります。1日塩分7.5g以下が目標です。うす味に慣れておくと、赤ちゃんの離乳食や幼児食を作るときにも役に立ちます。
家庭でできる減塩のポイントは、「正しく知って、おいしく減塩」をご覧ください。

Q.おやつはどのくらい食べてもいいの?

A.基本は1日3回の食事を優先し、おやつは食べすぎないように楽しみましょう。おやつの1日のエネルギーは、飲み物を含めて200kcal以内が目安です。市販のお菓子や加工食品には、エネルギーや栄養成分の量が表示されていますので、参考にするとよいでしょう。

Q.サプリメントはどのようにとればいいの?

A. どうしても食事で補えない場合は、必ず「妊娠中も利用可能か」「自分に不足し補う量はどれくらいか」を確認し、利用しましょう。葉酸の摂取においては有効とされています。ただし、サプリメントのとりすぎはミネラルバランスが崩れ、特定の栄養素の多量摂取で他のものが排出されてしまうことがあります。基本的に必要な栄養素は食品からとることを優先しましょう。特に脂溶性ビタミンであるA、D、E、Kなどはとりすぎると弊害があるので注意しましょう。

Q.リステリア菌ってなに?

A.リステリア菌は食品を介して感染する食中毒菌で、塩分にも強く、冷蔵でも増殖します。妊娠中は一般の人よりも感染しやすくなります。赤ちゃんに影響が出ることがあるので、注意が必要です。

【予防策】

  • 食べる前に十分加熱しましょう。
  • 冷蔵庫の食品は期限内に使い切りましょう。

【妊娠中に避けた方がよい食べ物】

  • ナチュラルチーズ(加熱殺菌していないもの)
  • 肉や魚のパテ
  • 生ハム
  • スモークサーモン