高齢期の食事のポイント
高齢期の食事のポイント
食事で栄養をとり、低栄養を予防しよう!
健康に高齢期を迎えられた方の多くは、生活習慣病の予防のため、肉類や油脂類はひかえてしまいがちです。また、年齢を重ねると、咀嚼・嚥下機能の低下や体を動かす機会の減少等により、食欲が低下し、食べる量や種類が減り、結果として低栄養に陥りやすくなります。低栄養は免疫力の低下を招き、筋肉量の減少と相まってフレイルのリスクを高めます。食事に関する3つのポイントを意識して、食事で栄養をとり、低栄養を予防して、高齢期を元気に過ごしましょう。
【ポイント1】 1日3食しっかりとりましょう
からだに必要な栄養素を摂るために、食事を抜かずに、朝・昼・夕の3食をしっかりとりましょう。一度にたくさん食べられない時は間食で補いましょう。例えば、乳製品でたんぱく質やカルシウムを、果物でエネルギーやビタミン類を補うことができます。食欲がない時は、口当たりのいい食品(プリンやヨーグルト等)で栄養補給をしましょう。
【ポイント2】 バランスのよい食事を心がける
●主食・主菜・副菜を組み合わせる
1日2回以上、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べましょう。牛乳・乳製品や果物などを適宜組み合わせてください。料理が大変な場合は、市販の総菜や缶詰、レトルト食品などを活用してみましょう。

●いろいろな食品を組み合わせる
いろいろな食品を組み合わせて食べることで、必要な栄養素をまんべんなく摂取することができます。ごはん、パン、麺類の主食に加えて、以下に書かれた10食品群のうち、毎日7品目以上の摂取を目指しましょう。合言葉は「さあにぎやか(に)いただく」※

【ポイント3】 特にとりたい栄養素を意識して摂取する
高齢者が特にとりたい栄養素は、筋肉量を維持するたんぱく質、骨の健康を保つカルシウム・ビタミンD、ビタミンK、腸の働きを整える食物繊維です。これらが不足すると、筋力低下、骨粗しょう症、便秘などにつながるため、意識して摂取することが必要です。
●たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や血液をつくるもとになります。たんぱく質の摂取量が減ると筋肉量が減少し、年を重ねると筋肉の合成が遅くなるため、高齢になるほどたんぱく質をとることが重要になります。主成分のアミノ酸がバランスよく含まれている良質なたんぱく質を含む食品(魚、肉、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品)を以下の目安量を参考に摂取しましょう。低栄養が疑われる人は、より多くのたんぱく質を食べるよう心がけてください。

●カルシウム・ビタミンD・ビタミンK
高齢期を元気に過ごすためには、筋肉だけでなく、骨も元気に保つことが大切です。カルシウムは骨の材料となるため、骨粗しょう症の予防に有用です。カルシウムの体への吸収率は高くないため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDとビタミンKを一緒に摂るようにしましょう。

詳細はこちら →「骨粗しょう症」
●食物繊維
食物繊維は、腸の働きを整える働きがありますが、高齢になると消化機能の低下や腸内環境の変化が生じやすいため、1日当たりの食物繊維摂取目標量を参考に摂取しましょう。
食物繊維は、水溶性と不溶性の2種類に分けられます。水溶性食物繊維は、腸内環境を整える、血糖値の上昇を緩やかにする、コレステロールの吸収を抑制する効果があります。不溶性食物繊維は、便の量を増やし、腸の動きを促進する効果があります。それぞれ生理作用が違いますので、食物繊維を多く含む食品を組み合わせて摂取することが大切です。特に、納豆は水溶性と不溶性の食物繊維がバランスよく含まれている食品でおすすめです。また、食物繊維が多い食材は、高齢者にとっては固く、食べにくいものが多いため、食べやすくする工夫が必要です。


おいしく楽しく食事をしよう!
食べやすくする工夫
高齢になると、身体の機能が低下し、食べ物を噛む力や飲み込む力が弱くなってきます。歯の衰えや噛む力が弱まることで、硬いものや繊維質が多い食材は避けることが多くなります。また、唾液の分泌が減り、口の中で食べ物をまとめにくくなることで、飲み込みにくくなる食べ物も増えてきます。このような高齢期の口腔機能や嚥下機能の低下に伴い、栄養の偏りや食べ物による窒息事故に注意が必要になります。状態に応じて、切ったり、とろみをつけたり、食べやすい形態にととのえる工夫することも必要です。
●噛みやすくする
・肉は筋を切って叩く。鶏肉は皮を取り除く。
・魚は筋がなくほぐしやすいものや小骨が少なく骨を取り除きやすいものを選ぶ。
・切り方を工夫する。(食べやすい大きさに切る。繊維を断ち切るように切る。切れ目を入れる。)
・トマト、ナスの皮や豆の薄皮はとる。
・薄切り肉や葉物などペラペラしたものは、巻いて厚みをだす。
・パサパサするものは汁物や牛乳に浸す。
・焼く、炒めるよりも、煮込む、蒸す。(歯ぐきでつぶせるくらいに軟らかくなるまで加熱する。)
・大根やにんじんなどのかたい食材は、細かく切るより一口大で芯まで軟らかくなるまで煮込む。
●飲み込みやすくする
・煮崩れるくらいに軟らかくなるまで加熱する。
・滑らかになるように裏ごしたり、ミキサーやフードプロセッサーにかける。
・飲み込みを助けるために、片栗粉やコーンスターチ、ゼラチン、とろみ調整食品を利用する。
・むせやすいので強い酸味や辛みは避ける。
・味付けとしてマヨネーズやクリーミーなドレッシングなどの油分を含む調味料を使用する。
●窒息事故予防のポイント
・急いで飲み込まない。よく噛み砕いてから飲み込む。
・食べる前に、先にお茶や汁物を飲んで喉を潤す。
・食べ物を口に入れたまま話さない。
・歯のない人は、入れ歯をいれてしっかり噛む。(入れ歯の手入れも忘れずに!)
・椅子に深く座り、背筋を伸ばして、軽く前傾して、顎は軽く引く。
・商品のパッケージなどに表示されている警告マーク・注意書きを確認する。
おいしく食事する工夫
加齢とともに、味覚機能が低下し、味を感じにくくなるため濃い味を好むようになり、おいしさも感じにくくなります。また、あっさりしたものを好むようになります。これらの要因から、摂取すべきエネルギー量や栄養素が足りなくなる可能性があります。
新鮮な食材、旬の食材、適度な調味料・香辛料を使うことや温度に配慮することで、料理の味を向上させましょう。また、料理を彩り豊かに盛り付ける、行事食を取り入れるなど食欲を刺激するように心がけましょう。
楽しく食事する工夫
家族や仲間と一緒に食べると、食欲が出ることで食事の摂取量が多くなり、いろいろな栄養もとりやすくなり、何よりも、楽しくおいしく食べることができます。家族や友人、近隣の人たちと食卓を囲む時間をつくる、外に出て食事をする、地域の料理教室に参加するなど、食事の環境に変化をもたせ、楽しく食事しましょう。
水分補給をしよう!
体の中での水分の役割は、血液やリンパ液などの体液の濃度やホルモンの分泌の調節をはじめ、発汗による体温調節、栄養分の運搬、老廃物の排出などの働きをしています。
「のどが渇かないから」、「トイレに行くのが面倒だから」といって、水分をひかえていると、脱水症状になり、血液が濃縮されて脳の血管に血栓ができやすくなり、脳卒中を引き起こしやすくなります。また、夏場には熱中症の心配も出てきます。
1日に必要な水分の目安量は、約2.5Lです。この目安量は、食事から得る水や体内で作られる水も含むため、飲み水としては1日約1.2L(コップ6~7杯程度)が目安量です。意識的に水分をとらないと必要量がとれませんので、こまめに水分補給をしましょう。