骨粗しょう症

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨の代謝バランスが崩れることで、骨量(骨密度)の低下や骨質の劣化が生じ、骨の強度が低下し、骨折リスクが増大した病気です。痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気づかれにくい病気でもあります。骨粗しょう症が怖いのは、尻もちをつく、何かにぶつかるといったちょっとした刺激で骨折してしまうことで、寝たきりなどの要介護状態になってしまうリスクが高まる点にあります。

【骨を構成する成分と骨の強度】

骨は、コラーゲン(たんぱく質)にカルシウムなどのミネラルが沈着することによってできています。骨を鉄筋コンクリートに例えるならば、カルシウムなどのミネラルがコンクリート部分にあたり、コラーゲンが鉄筋や架橋部分にあたると言えます。カルシウムなどによる骨量(骨密度)が骨の「硬さ」を、コラーゲンによる骨質が骨の「しなやかさ」をそれぞれ生み出しています。このように骨の強度は、骨量(骨密度)と骨質の2つの要素によって決まります。

 

【骨代謝サイクル】

骨は変化がないように見えますが、常に新陳代謝を繰り返しています(骨代謝、骨のリモデリング)。
古くなった骨は、破骨細胞という細胞によって破壊され、血液中に吸収されます(骨吸収)。そして、破壊された骨の後に、骨芽細胞によって新しい骨が形成されます(骨形成)。
このプロセスを繰り返すことで、骨は強さとしなやかさを保っています。
この骨代謝のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると、骨密度が減少してしまいます。

 

【加齢に伴う骨量(骨密度)の変化】

男女ともに10代の思春期には、骨形成が骨吸収を上回るため骨量が増加し、20歳頃に生涯で最大の骨量に達します。20歳頃から40歳半ばくらいまではその骨量が維持されます。その後、加齢に伴い減少していきます。
男性の場合、最大骨量が女性よりも大きく、加齢による骨量の減少も緩やかです。一方、女性は最大骨量が男性よりも少なく、50歳前後の閉経期に入ると骨量が急激に減少します。これは、骨形成を促進し、骨吸収を抑制する作用を持つ女性ホルモン(エストロゲン)が、閉経後に急激に減少するためです。

 

【骨質の劣化】

骨は、鉄筋や架橋部分にあたるコラーゲンの量が減少し、質が低下すること、あるいはコラーゲン架橋異常によってもろくなります。これを骨質の劣化と呼び、加齢や、慢性腎臓病・糖尿病といった生活習慣病などが原因となります。骨の強度は骨量(骨密度)と骨質の二つの要因によって決まるため、骨量(骨密度)がそれほど低下していなくても骨折リスクが高い人がいることに注意が必要です。骨密度の低下と骨質の劣化が同時に起こると、骨折リスクは相乗的に高まります。

 

骨粗しょう症の危険因子

骨粗しょう症の危険因子としては、加齢、閉経、遺伝的要素、特定の病気や薬剤の使用、低体重、過度なダイエットなどが挙げられます。骨が形成される成長期に栄養が不足すると、若年層でも骨粗しょう症を発症することがあるため、過度なダイエットには注意が必要です。

また、食事や運動といった生活習慣も骨粗しょう症の発症に関与しています。日照不足や、喫煙、過度の飲酒も危険因子となります。

【食事】

骨粗しょう症の要因として特定の栄養素の不足や過剰摂取が挙げられます。

カルシウムは骨の重要な構成成分であり、その約99%が骨と歯に含まれ、残りの1%は血液や筋肉、神経内に含まれています。血液中のカルシウムは、細胞の機能や神経伝達など生命維持に不可欠な役割を担っているため、その濃度は常に一定に保たれる必要があります。カルシウムの摂取量が不足すると、血液中のカルシウム濃度を維持するために、骨からカルシウムが溶け出して血液中に供給されます。その結果、骨量(骨密度)が減少してしまいます。

カルシウム以外にも、骨の構成成分であるたんぱく質、カルシウムの吸収に必要なビタミンD、カルシウムを骨に沈着させるビタミンKなどの不足も、骨粗しょう症のリスク要因となります。

また、カルシウムの排出を促進する食塩(ナトリウム)やカフェイン、カルシウムの吸収を阻害するリンやアルコールの過剰摂取も、骨粗しょう症のリスク要因となります。

 

【運動】

骨は、負荷がかかることで強くなる性質を持っています。運動による刺激は骨を作る骨芽細胞を活性化させ、骨形成を促すため、運動不足は骨粗しょう症のリスク要因となります。

 

骨粗しょう症の予防

骨粗しょう症予防の基本は、適正体重の維持、バランスのよい食事、そして適度な運動です。これらに加えて、適度な日光浴、禁煙、そして骨粗しょう症検診を定期的に受けることも重要です。

【適正体重の維持】

骨粗しょう症のリスク要因の一つに、低体重(やせ)が挙げられます。そのため、ご自身の適正体重を把握し、それを維持することが重要です。体重が適正であるかどうかはBMIで判断できます。日本人の食事摂取基準(2025年版)には、年齢ごとの目標とするBMIの範囲が示されています。

【バランスのよい食事】

主食・主菜(たんぱく質)・副菜の揃った食事を目指しましょう。その上で、健康で丈夫な骨をつくるために必要な栄養素(カルシウム、ビタミンD、ビタミンK)を意識して摂りましょう。
また、カルシウムの排出を促進する食塩(ナトリウム)やカフェイン、過剰摂取するとカルシウムの吸収を阻害するリンやアルコールについては、摂取量に注意が必要です。
ただし、かかりつけ医から食事に関する指示がある方は、その指示に従ってください。

たんぱく質

たんぱく質は、骨や筋肉の形成に不可欠な栄養素です。特に成長期の最適な骨量増加や最大骨量の獲得には、適切なたんぱく質摂取が欠かせません。また、成人期以降の加齢に伴う骨量の維持にも関与しています。主成分のアミノ酸がバランスよく含まれている良質なたんぱく質を含む食品(魚、肉、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品)を以下の目安量を参考に摂取しましょう。

カルシウム

カルシウムは、骨の主成分であり骨量(骨密度)の獲得や維持に不可欠です。1日当たりのカルシウム推奨量を目標に、カルシウムを多く含む食品(牛乳・乳製品、大豆製品、小魚、小松菜などの野菜、海藻類、ごま)を積極的に摂取するよう心がけましょう。

<カルシウムを多く含む食品>

ビタミンD・ビタミンK

ビタミンDは、小腸からのカルシウムの吸収を促進します。また、腎臓の尿細管にも作用し、尿に排泄されたカルシウムをもう一度吸収するように働きます(再吸収)。
ビタミンKは、骨にカルシウムを沈着させ、丈夫な骨を作る働きがあります。不足すると適切な骨の形成ができなくなります。
それぞれビタミンDとビタミンKを多く含む食品を摂りましょう。

【適度な運動】

適度な運動は、骨に刺激を与えて骨形成を促すだけでなく、転倒予防のための筋力向上やバランス能力の維持にもつながります。日常生活の中で階段の上り下りや散歩、かかと落とし運動などを取り入れ、運動量を増やすことを心がけましょう。なお、骨粗しょう症の治療中の方や膝に痛みがある方は、運動を開始する前に必ず医師にご相談ください。

運動は単発ではなく、習慣化することが大切です。最初はご自身の状態に合わせて、無理なく継続的に取り組むようにしましょう。

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【適度な日光浴】

適度に日光を浴びることによって、カルシウムの吸収を促すビタミンDを合成することができます。毎日の適度な日光浴を心がけましょう。日焼けが気になる場合は、手のひらを日光に当てるだけでも効果が期待できます。

 

【卒煙(禁煙)】

喫煙は、カルシウムなどの栄養素の吸収を妨げます。また、ホルモン分泌にも悪影響を与え、骨粗しょう症のリスクを高めるため、卒煙(禁煙)は骨粗しょう症の予防に効果的です。

「たばこと健康」についての詳細はこちらをご覧ください。

 

【定期的な骨粗しょう症検診】

40代以降は、定期的に骨粗しょう症検診を受け、自身の骨量(骨密度)を確認することが大切です。特に閉経後の女性や高齢者の方は、定期的な検診をお勧めします。