Vol.19 平安女学院大学×京都市コラボレーション企画~やってみよう!食のこだわりクッキング!!~(平成24年12月18日開催) 北保健センター衛生課 野村 真希
突然ですが、みなさん、『リスクコミュニケーション』という言葉をご存じですか?
リスクコミュニケーションとは消費者、食品等事業者、行政担当などの関係者間で情報や意見を交換することです。
今回は京都市食の安全安心推進審議会の山岡祥子委員(平安女学院大学国際観光学部 准教授)にご協力いただき、学生さん達と一緒に唐揚げを作りながら、『家庭でできる食中毒予防』をテーマに意見交換を行いましたので、そのときの様子を報告します。
【当日のスケジュール】
ミニ講義『家庭でできる食中毒予防』について → 手洗いチェッカーによる正しい手洗い体験 → 調理実習 食品の中心温度測定実験 → 試食タイム 感想・意見交換 本市の職員が食中毒について話している様子です。皆さん、熱心に聞いてくださいました。
食中毒予防3原則は「菌をつけない」、「菌を増やさない」、「菌をやっつける」です。
「菌をつけない」→手の洗浄、調理器具の使い分け、消毒など、 「菌を増やさない」→保冷、調理後の速やかな食品提供など、 「菌をやっつける」→食品の中心部までの十分な加熱など
カンピロバクターについての話もありました。鶏肉はカンピロバクターという食中毒菌に高率で汚染されていることから、加熱を十分に行うことが大切です。(中心温度75℃ 1分以上)
ミニ講義のあと、手洗いチェッカーを使って正しい手洗いの方法をチェックしました。
手洗いチェッカーの使用方法は次のとおりです。
①手に専用ローションを塗る。
②専用BOX(特殊ライト付き)の中に手を入れて、手を見る。 (ローションが付いている部分は白く光ります。
③白く光る部分が無くなるように手を洗う。
④BOXの中にもう一度手を入れて、ローションの洗い残しを確認する。 (ローションの洗い残しが白く光ります。)
普段通りに手洗いをした学生さんからは「うわーッ、こんなに汚れてるの!?」と驚きの声が上がりました。
石鹸で手をしっかり洗ったつもりでも、爪や指の間にローションが残っていることが多く、洗いにくい部分があることがよくわかりました。
学生さんからは「爪のまわりが白く光った。」「爪ブラシを使ったら、白い部分が取れた。」などの感想をいただきました。
それでは、いよいよ調理実習です。
食中毒予防3原則を守りながら調理をすすめます。
いったい何分間180℃の油で揚げると、鶏肉の中心温度が75℃1分以上になるのでしょうか??
<作業工程>
① 冷蔵庫で保管しておいた鶏肉を取り出す。
② ナイロン袋に唐揚げ粉と鶏肉7個を入れ、唐揚げ粉と鶏肉をなじませる。
③ 手で直接触れず、生肉用(黄色)の箸を使って鶏肉1個を取り出し、中心温度を測る。(検体№0)
④ 残りの鶏肉6個を同時に油(180℃)の中へ入れる。
⑤ 1分後に唐揚げを1個取り出し、中心温度を測る。(2分後に1個取り出し…、3分に1個取り出し…と同様の作業をしていく。)
⑥ 唐揚げを切る。
では唐揚げの断面図を見てみましょう!
2分後に取り出した唐揚げは外側はこんがりした色をしていますが、中心温度70.3℃で肉にピンク色の部分があり、十分な加熱が出来ていませんでした。
3分後に取り出した唐揚げは中心温度76.0℃でした。
4分後に取り出した唐揚げは中心温度89.8℃でした。
という結果から、
今回の場合(約30gの鶏肉の場合)、4分間以上180℃の油で揚げると中心温度が75℃1分以上を保つことがわかりました。
学生さんからは「揚げ物をするときに中まで火がちゃんと通っているか、そこまで気にしたことがなかったが、これからは気をつけたい。」
「調理実習をしたことで食中毒予防のことを楽しく学べたのでよかったです。」などの感想をいただきました。
十分に加熱された唐揚げのお味はいかがでしょうか!?
学生さんからは「揚げたての唐揚げは特においしい」、「唐揚げがおいしくできてよかった。料理は最後まで気をつけなければいけない。」などの感想がありました。
実習を終えるころ、学生の皆さんは食中毒予防3原則をしっかり覚えてくださっていました。カンピロバクター菌をやっつける温度、時間(75℃ 1分以上)もばっちりでした。
安全に調理しているつもりでも、ご自分たちの調理によって食中毒が起こる可能性もあります。
今後、食中毒予防3原則をご家庭や学祭で調理されるときにもいかしていただき、よりいっそう安全で安心しておいしく楽しい食事をしてもらえたらと思います。